２人用のフリー台本です。
２分程度の短い台本になっていますので、
レッスンや稽古等で、ご自由にお使いください。
キャスト総数２人（男１：女１）
ポチ子より
洗濯物を洗って、干すのを忘れることが、
１０回に１回くらいの割合である。
所要時間（目安）２分程度
ジャンル恋愛
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『ゴキブリ』
彼女 「ねぇ、どういうつもり？」
彼氏 「あ？」
彼女 「何してんのって言ってんの。」
彼氏 「お前が言った通り、ゴキブリ捕まえてやったんだろうが。」
彼女 「私の言った通り・・・？私は、ゴキブリを駆除してって言ったの。あんた、何した？」
彼氏 「だから、ゴキブリを捕まえて、外に逃がしたんだろ。」
彼女 「はぁ！？意味わかんない！なんで逃がすの？私はこの殺虫剤でゴキブリを殲滅しろって言ったの！逃がしてどうするのよ！」
彼氏 「だって殺したら、ゴキブリが可哀想だろ。」
彼女 「ゴキブリに可哀想もくそもない！迷わず殺れ！」
彼氏 「ゴキブリだって、一つの命なんだぞ！あいつらだって頑張って生きてんだよ。それを軽々しく奪うなんて、お前、人間じゃねぇ！」
彼女 「知りませんね。大体人の家に不法侵入しといて、生きて帰れると思っているのが間違いなのよ。あいつらだって、相応の覚悟を持って台所に住み着いてんのよ。慈悲なんていらないわ！」
彼氏 「あいつらだって、帰りを待ってる家族がいるんだ。まだ、子供だって小さいかもしれないだろ。」
彼女 「子供がいるだなんて言わないでよ。この台所にまだいると思ったら夜寝れなくなるでしょ。」
彼氏 「１匹出たら３０匹はいるって言うよな。」
彼女 「黙って！もー聞きたくない。どうすんのよ、あんたが逃がしたゴキブリがまた入ってきたら！」
彼氏 「そしたら、また俺が捕まえればいいだろ？」
彼女 「毎日いるわけじゃないでしょ！あんたがいないときに出てきたらどうすんのよ！」
彼氏 「さっきからうるさいな！お前が急に電話で呼び出して、『助けて！』なんて大げさに言うから、急いできてやったのに！」
彼女 「大げさって何よ！ゴキブリが出たら、そりゃ助けてってなるでしょ。命の危機と同等よ。」
彼氏 「それに、殺虫剤あるんだったら自分でやればいいだろ！」
彼女 「１ミリでも近づくのが嫌なの！飛んで来たらどうすんのよ！」
彼氏 「あーめんどくさいな！こんな時ばっかり女出しやがって。」
彼女 「そっちこそ、この役立たず！！」
彼氏、彼女、息を切らす。
数秒間の沈黙。
彼女 「・・・ごめん、夜遅く呼び出して。」
彼氏 「・・・別に、おれも怒鳴ってごめん。」
彼女 「いいよ、私も怒鳴ってたし・・・。ゴキブリが無理すぎて、取り乱した。」
彼氏 「なぁ、俺ら一緒に住まない？」
彼女 「は？」
彼氏 「そしたら、ゴキブリ逃がしても、毎日俺がいるから安心だろ？」
彼女 「だから、逃がさないでよ。・・・ふふっ。」
彼氏 「なんだよ。」
彼女 「それ、今のタイミングで言うこと？もうちょっと別にあったでしょ。」
彼氏 「うるせーな。思いついたんだから、しょうがないだろ。」
彼女 「はははっ。・・・部屋借りるの、３階以上ね。虫、あんま湧かないところしか認めないから。」
彼氏 「ふっ。はいはい、分かったよ。」
―終わり―