2人用のフリー台本です。
2分程度の短い台本になっていますので、
レッスンや稽古等で、ご自由にお使いください。
キャスト総数2人(男2)
ポチ子より
昔のドラマを見るのにハマっている。
所要時間(目安)2分程度
ジャンルシリアス
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『誰にも知られず』
【居酒屋】
ザワザワと騒がしい店内。
男1 「誰にも知られずにさ、死んでく奴もいるんだよな。」
男2 「なんの話だよ。」
男1 「佐々木、劇団辞めるってさ。」
男2 「あぁ、知ってるよ。実家の焼肉屋継ぐんだろ?いいよなー、家業がある奴は。辞めても、就職先がすぐ見つかってよ。んで、佐々木が何?あいつ死んでないぞ。」
男1 「分かってるよ。ただ、大した役も貰えず、何年も底辺這いつくばってさ、結局辞めるんだなと思って。」
男2 「うわぁ、刺さるね、その言葉。まるで、お前と俺のことを言っているようだ。まぁ、しょうがないんじゃね?佐々木も歳だしさ、色々これからの事考えたんだろうよ。」
男1 「佐々木と俺ら、同い年だろ。」
男2 「・・・俺らも歳だってことさ。」
男1 「なぁ誰にも知られずに、生きていく意味ってあると思うか?」
男2 「・・・芝居の話か?」
男1 「底辺役者続けて、結局誰にも知られず、目も向けられず、最後は佐々木みたいにそれを捨てる。誰にも知られず生きて、勝手に死んでく。そんなの最初から死んでいるみたいだろ。」
男2 「ふっ、なんだよ感傷に浸りたい時期か?病むのは良いけどさ、突然音信不通になったりすんなよー。」
男1 「感傷か・・・。そうかも、しれないな。」
男2 「すみませーん、檸檬サワーください!そんな時はさ、酒飲むのが一番だぜ?ほら、飲めよ。割り勘だけどな?」
男1 「俺、役者辞める。」
男2 「・・・おう、そっか。もう、団長には言ったのか?」
男1 「いや、まだ言ってない。明日、言うつもり。」
男2 「辛気臭い顔してると思ったら、なんだよ、そういうことか。次は何するか決まってんの?」
男1 「特には決めてない。」
男2 「まぁ、何とかなるっしょ。いざとなれば、実家に帰ればいいし。」
男1 「おう。」
男2 「・・・お前も死ぬんだな。」
男1 「・・・あぁ。」
―終わり―