１人用のフリー台本です。
２分程度の短い朗読台本になっていますので、
レッスンや稽古等で、ご自由にお使いください。
キャスト総数１人（男女兼用１）
ポチ子より
小さいころから好きな野菜は、
ピーマンとネギです。
最近食べれるようになったのはナス。
とても美味しい。大人になったなー。
所要時間（目安）２分程度
ジャンル朗読
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『ピーマン』
今年もどこかの番組で、
子供が嫌いな食べ物ランキングが発表されていた。
発表されなくたって分かる。
一位は大体あいつだ。
緑色で、苦い、子供の天敵、ピーマン。
私は、小さいころからピーマンが好きだった。
苦いとも、まずいとも感じなかった。
運動会の時には、
ミニトマトやブロッコリー、
色彩担当の野菜がすべて嫌いだった私のために、
母が色合いでピーマンの炒め物を入れていた。
今思い返してみても、
炒められたピーマンの色は茶色かったし、
絶対その役目を果たしてなかったけど。
でも、私はお弁当のピーマンが大好きだった。
周りの皆は、
ピーマンが好きだなんておかしいと、
ピーマンの味を思い出したのか、顔を顰めながら言った、
あんなに美味しいのに。
ピーマンの肉詰めは絶品だし、
チンジャオロースはピーマンが入ってないと話にならないじゃんか。
私は、心の中で文句を言っていた。
でも、大人になると、
ピーマンが嫌いな人も減って、
自分も大人になったなと言いながら、
普通に食べる。
そして次第に、ピーマン嫌いの子供のために、
ピーマンをそれはそれは細かくみじん切りにして、
味の濃い料理の中に入れるのだ。
ピーマン入りのハンバーグを食べている子供に、
「美味しい？」
なんて聞いて。
それに、
「美味しい！」
と答える子供をみて、
してやったりと笑うのだ。
嫌われ者のピーマンは、
他の野菜なんかよりも、
たくさんのストーリーの中にいて、
今日も、誰かの笑顔を作っている。
・・・たぶん。
―終わり―